【問題】
nを自然数とする。
n(n+1)が平方数とならないことを証明せよ。
【解答】
まずは問題文をよく読みましょう。わずか2行の問題文ですが、はじめが肝心です。
自然数、ってどんな数でしたか?
自然数:1から始めて、それに1を順次足して得る範囲の数。具体的には、1、2、3、4、・・・。
平方数はどうでしょう?
平方数:自然数の二乗で表される整数のこと。具体的には、1、4、9、16、・・・。
ではn(n+1)とは、どんな数になるでしょうか?
これも具体的に並べてみましょう。
$$n=1のとき 1(1+1)=1×2=2$$
$$n=2のとき 2(2+1)=2×3=6$$
$$n=3のとき 3(3+1)=3×4=12$$
$$n=4のとき 4(4+1)=4×5=20$$
こんな具合です。計算結果を並べると、2、6、12、20・・・です。
なるほど、平方数は現れそうにありません。
もっと言えば、平方数は同じ整数を掛け合わしたものですから、文字を使った一般式で表すと・・m×mとなるものですから(mは自然数です)(問題文の自然数とは違うかも、といった意味でmを用いています)、m(m+1)となると余分な1が加わっており、そりゃなるはずないじゃん、と言えそうです。
そうではあるのですが、nやmをどんどん大きくしていっても、ほんとうに平方数にはならない?と聞かれると、このやり方、説明の仕方では納得を得ることはできませんね。では、どうしましょう・・。
平方数の並びに注目してください。平方数は・・
1、4、9、16、25、・・・
と飛び飛びに現れてきます。ということは、平方数と平方数の間の自然数は、平方数ではない、ということです。たとえば、3、5、7、23などは、平方数と平方数の間に存在する数なので、それ自身は平方数ではありません。
このことに気づけば、これを式にすることを考えます。
どうでしょう?
$$n^2<n(n+1)<(n+1)^2$$
という不等式を立てられましたか?
不等式の両端は平方数を示しています。小さい方はnの2乗、大きい方は(n+1)の2乗です。つまり連続する自然数の二乗を示しています。真ん中のn(n+1)は問題文にあった式です。調べるべきn(n+1)を連続する平方数で挟み込んで、大小を調べようというわけです。この大小関係がすべてのnについて成り立つならば、n(n+1)は平方数とはならない、と言えますね。
左半分を調べてみましょう。
$$n^2<n(n+1)$$
$$n^2<n^2+n 右辺を展開した$$
$$0<n 両辺からn^2を引いた(右辺のn^2を左辺へ移項した)$$
さて、nは自然数(1、2、3・・・)でしたから、0<nはすべてのnで成立します。これで不等式の左半分に関しては証明できました。
次に右半分を調べます。
$$n(n+1)<(n+1)^2$$
$$n^2+n<n^2+2n+1 両辺を展開した$$
$$-n<1 (n^2+2n)を左辺へ移項した$$
$$n>-1 両辺に-1をかけて式を見やすくした$$
nは自然数ですから、-1<nはすべてのnで成り立ちますね。これで不等式の右半分も証明できました。この結果、
$$n^2<n(n+1)<(n+1)^2$$
は、すべての自然数nにおいて成り立つことが分りました。
すなわち、すべての自然数nについて、n(n+1)は平方数にならないことが証明できました。