【問題】
2けたの正の整数がある。この整数の一の位の数を2倍し、十の位の数を加えると16になり、一の位の数と十の位の数を入れかえた整数は、もとの整数より45大きくなるという。もとの整数を求めなさい。
数研出版 基礎からの中二数学準拠ドリル
【解答】
ごくごく一般的な問題です。通常は連立方程式を立てて解くことが多いでしょう。
2ケタの正の整数Nは以下のように表すことができます。
$$N=a×10+b$$
$$ただし、9≧a≧1の整数、9≧b≧0の整数とする$$
a、bの範囲を明示しておくことを忘れないようにしましょう。
aが0だったら、Nは2ケタの整数になりませんし、aやbが、1.5や3.2などの値をとってもいけません。当たり前のことではありますが、条件を必ず記すように癖をつけておきましょう。
2ケタの正の整数Nを、
$$N=a×10+b$$
と表すことによって、問題文に書かれている2つの操作を式で示すことができます。
まず、「この整数の一の位の数を2倍し、十の位の数を加えると16になる」は、
$$2b+a=16…①$$
と表せますし、「一の位の数と十の位の数を入れかえた整数は、もとの整数より45大きくなる」は、
$$(10b+a)-(10a+b)=45…②$$
となります。
a、bは、二つの式、①と②を同時に満たす数であるはずですから、この2つの式を連立方程式として扱い、a、bの値を求めます。
その前に、②の式はもう少し簡単な形にできるので・・
②より
$$(10b+a)-(10a+b)=45$$
$$9b-9a=45$$
$$9(b-a)=45$$
$$b-a=5…②’$$
改めて、連立方程式の形に記して・・
これを解くと・・①+②’より
$$3b=21$$
$$b=7$$
b=7を②’に代入して、
$$7-a=5$$
$$a=2$$
このa、bは、9≧a≧1の整数、9≧b≧0の整数という条件を満たす
よって、もとの整数Nは27 でした。
この問題のキモは、分らない2けたの正の整数を、
$$N=a×10+b$$
と表すことができるかどうか、にかかっています。
これができなければ、2ケタの正の整数を全部書き上げて、2つの条件にあうものを探す、という作業をしなければなりません。もっとも90個の整数を調べればいいだけですし、条件②からは、一の位の数の方が十の位の数よりも大きいということはわかりますから、候補となる数はかなり減りますが、なかなか大変です。
で、それ以上に大切なのが、N=a×10+bと表した時に、必然的に発生する条件、「9≧a≧1の整数、9≧b≧0の整数」を、はっきり認識し、かつ明示して解答することです。当たり前すぎて見落としがちですが、この部分の記述がなければ、解答としては不完全です。
語弊があるかもしれませんが、N=a×10+bとおいたのは、解答者自身の都合でしかありません。それでも、問題の条件を過不足なく満たしていることを示すには、必ずなければいけない条件です。
このあたりの考え方が、数学嫌いを招く要因の一つのように感じないわけではないのですが、この条件がないと成立しない式であることを認識してください。
この問題集の解答編には、この条件に関する記述がありません。ページの都合のようではありますが、いかがなものかと思う次第です。