実数p、q、rに対して、x の3次多項式$$f(x)=x^3+px^2+qx+r$$ を考える。以下の問いに答えなさい。
(1) 複素数αに対して、$$f(α)=0$$であるなら、$$f(\overline{α})=0$$ であることを示しなさい。ただし、$$\overline{α}$$ はαの共役複素数である。つまり、αの実部、虚部を各々s、tとすれば、$$α=s+ti , \overline{α}=s-ti$$である。 ただし、iは虚数単位である。
2017 兵庫県立大学入試より抜粋
【解答】
$$f(α)=f(s+ti)=(s+ti)^3+p(s+ti)^2+q(s+ti)+r$$
複素数解αを例示にならってs+tiと記しています。
これを素直にf(x)に代入してやると、右辺の式を得ます。
さらに計算を進めても良いのですが、その結果は、
$$S+Ti$$
という、実部と虚部をもった複素数になるはずです。
そうでありながら、f(α)=0だというのですから、
S=T=0になっているはずです。
で、あるならば・・S+Ti=S-Ti=0ですから・・・
$$f(α)=α^3+pα^2+qα+r=\overline{α^3+pα^2+qα+r}$$
p、q、rが実数なので、
$$\overline{α^3+pα^2+qα+r}=\overline{α}^3+p\overline{α}^2+q\overline{α}+r$$
$$\overline{α}^3+p\overline{α}^2+q\overline{α}+r=f(\overline{α})$$
$$f(\overline{α})=0$$
これにて、証明は終わりです。
この解法から容易に想像がつきますが、
『実係数のn次方程式は、もし複素数解をもつのであれば、その共役複素数もまた解となる』ということを示していますし、奇数次の方程式においては、虚根をもてば、それが1個だけではありえない以上、虚根の数は偶数個あることになり、ゆえに実根が少なくとも1つあるということも示しています。