方程式は二つしかない。
連立方程式になっている。
①式はこれ
\[
x^2+y^2+z^2=36
\]
②式はこれ
\[
2x+y+2z=18
\]
未知数は、\(x,y,z\) の三つであり、いずれも実数だという。
この時点で、少し嫌な感じがする。
「未知数が三つなら、方程式も三つ必要だ」
と知っている中高生ほど、ここで身構える。
一方で、まだそれを知らない生徒は、ただ手を動かす。
どこへたどり着くのだろうか。
どこかで、「思考」を問われる場面があるはずだ。
その瞬間を探してみよう。
たとえば、②式から
\[
y=-2x-2z+18
\]
すなわち
\[
y=-2(x+z-9)
\]
と表す。
これを①式に代入する。
\[
x^2+(-2x-2z+18)^2+z^2=36
\]
\[
x^2+4(x+z-9)^2+z^2=36
\]
整理すると、
\[
5x^2+8xz-72x+5z^2-72z+288=0
\]
手を動かし、できることはやってみた。
ここで一度立ち止まる。
できることをやった後は、そこに生まれたものを観察することが大切だ。
何かを語りかけてはこないか。
耳をすます。
これまでにやってきた似たような場面を思い出しながら聞いてみることだ。
すると、思わぬひらめきに出会うことがある。
これを \(x\) についての二次方程式と見ることはできないだろうか。
そのとき、この式は、なにかを語りださないだろうか。
期待を抱いたのなら、相応の準備をしよう。
手間を惜しんではいけない。
xについて整頓する。
xの二次方程式に見えるように。
\[
5x^2+2(4z-36)x+5z^2-72z+288=0
\]
ここで、思い出して欲しいことがある。
問題文は、ヒントの集まりでもある。
そう、\(x\) は実数である。
だから、この二次方程式は実数解をもたなければならない。
つまり、判別式は \(0\) 以上である。
\[
D=\{2(4z-36)\}^2-4\cdot5(5z^2-72z+288)\ge0
\]
両辺を整理すると、
\[
(4z-36)^2-5(5z^2-72z+288)\ge0
\]
\[
-9z^2+72z-144\ge0
\]
\[
z^2-8z+16\le0
\]
\[
(z-4)^2\le0
\]
平方は、いつも \(0\) 以上である。
その平方が \(0\) 以下だという。
ならば、もう逃げ場はない。
\[
z=4
\]
同様に、この式を \(z\) の二次方程式と見れば、実数解条件より
\[
(x-4)^2\le0
\]
となるので、
\[
x=4
\]
を得る。
②式に代入して、
\[
2\cdot4+y+2\cdot4=18
\]
\[
y=2
\]
したがって、
\[
(x,y,z)=(4,2,4)
\]
である。
【別解】そこに球と平面が見えるのなら。
だが、この問題には、もうひとつの顔がある。
\[
x^2+y^2+z^2=36
\]
これは、原点を中心とする半径 \(6\) の球である。
一方、
\[
2x+y+2z=18
\]
これは平面である。
球と平面。
そう見ると、問題の景色が変わる。
平面の法線ベクトルは、
\[
(2,1,2)
\]
である。
原点からこの平面までの距離を求めると、
\[
\frac{|18|}{\sqrt{2^2+1^2+2^2}}
=
\frac{18}{3}
=6
\]
球の半径も \(6\)。
つまり、この平面は球にちょうど接している。
交わっているのではない。
一点だけで、触れている。
その接点は、原点から平面に下ろした垂線の足である。
だから、その点は法線ベクトルの方向にある。
\[
(x,y,z)=t(2,1,2)
\]
とおける。
これを②式に代入する。
\[
2(2t)+t+2(2t)=18
\]
\[
9t=18
\]
\[
t=2
\]
したがって、
\[
(x,y,z)=2(2,1,2)=(4,2,4)
\]
同じ答えにたどり着く。
—
この問題で大事なのは、方程式の本数だけではなかった。
式の形や、「実数である」という条件まで含めた、問題文全体が持っている情報が大切なのであった。
「未知数が三つ、方程式が二つ」
それだけを見れば、情報は足りないように思える。
しかし実際には、「x,y,z は実数」という条件が働いていた。
あるいは、図形として見たときの意味。
問題文の中には、まだ使われていない情報が潜んでいることがある。
足りないのではない。
ただ、まだ見つかっていないだけなのだ。


