第1章 円卓は回っても、人間関係は回らない
円卓は回る。しかし、何が回っているのだろう。
高校生四人が放課後、ファミリーレストランに入った。
案内されたのは丸いテーブルだった。
席に着くなり、A君が言う。
「この席、いいな」
理由を聞くと、左になんとなく思いを寄せる女の子がいて、右にも気心の知れた友人がいるからだという。
そのとき店員さんがやって来て、テーブルを少し回したとする。
すると、見えている景色は変わる。窓の位置も変わるし、店内の見え方も変わる。
けれどA君は困らない。
左には相変わらず「あの人」がいて、右にも同じ友人がいる。
その関係は何も変わっていないからだ。



